アンティークジュエリーの喜び

アンティークジュエリーの魅力や素晴らしさを記した本です。 アンティークのジュエリーというのは、モダンなジュエリーに比べてとっつきにくいというイメージがあるかもしれませんが、 この本はアンティークのジュエリーに親しみやすいようにエッセイ調で書かれています。 アンティークジュエリーの良さをさり気なく語っていて、押し付けがましさがないので読みやすいです。 ジュエリーに関する用語や、ポイントとなるキーワードは欄外で説明しているので、 ジュエリーについてのふとした疑問は本を読み進めながら解消できるようになっています。 途中に挿入されるイメージカットは、アンティークのジュエリーが持つ印象を生かしながら撮られていて、 アクセントや彩りとしての役割をうまく果たしています。

著者のアンティークジュエリーに対する愛情が行間からも伝わってくるので、 読み手は自然とアンティークジュエリーの世界に引き込まれることでしょう。 アンティークジュエリーのクラシカルで繊細なデザインや、モダンなジュエリーには無い謙虚な輝きは、 奥ゆかしさや控えめな気持ちを尊ぶ日本人の美意識に訴えかけるものがあるのかもしれません。 この本は、アンティークのジュエリーが醸し出すそういう雰囲気を大切にして書かれているような気がします。 西洋で作られたアンティークのジュエリーに親しむことで、気付かなかった日本の良さなどを発見できれば、 アンティークのジュエリーに対する関心は一層深くなるように思います。

アンティークジュエリーの歴史は幅広い時代をカバー

アンティークジュエリーに関する歴史を扱った本の多くが、時代をジョージアンからアールデコの間に設定しています。 (その理由については、後述の「アンティークのジュエリーを区切る目安」を参照下さい。) この本は、ジュエリーの歴史についてのレンジが広く、古代から1950年代あたりまでをフォローしています。 ジュエリーの移り変わりを長いスパンで捉えることができるのがメリットですが、 ジュエリーの写真が殆ど無いので少し物足りない感じがします。 イマジネーションを補ってくれるようなジュエリーのイラストでもあればよかったような気はします。 ジュエリーに流行り廃りがあるのは今も昔も変わらないということが、このチャプターを読むと分かると思います。

ジュエリーを華麗に纏う

ジュエリーのマナーについて書かれたチャプターでは、ジュエリーをエレガントに使いこなす為のヒントが得られるかもしれません。 著者が考えるジュエリーのマナー16か条がベースになっていて、 そこから指輪やネックレスなどのアイテム別にジュエリーのマナーを提案しています。 ジュエリーは服装とバランスが取れていることが肝心ですから、ジュエリーと装いの関係についても言及しています。 ジュエリーは女性だけのものではなく、男性も身に着けることが当たり前となっています。 チャプターの最後には、メンズジュエリーのマナーについて触れています。

ジュエリーのマナーというのは人によって捉え方が違うので、 このチャプターに載っているジュエリーのマナーも一つの指標に過ぎません。 ジュエリーを楽しむ気持ちも、ルールやマナーで縛りすぎると半減してしまいます。 ジュエリーは装着する人の内面を映し出す鏡のような役割も果たしますから、 少なくとも周囲の人を不快にさせない程度の気配りは心得ておきたいものです。

他にも、ジュエリーの素材(貴金属や宝石)についての話や、おすすめジュエリーを星座別にアドバイスするコーナーなど、 アンティークのジュエリーについての読み物がたくさん詰まった魅力ある一冊となっています。

アンティークのジュエリーを区切る目安

アンティークジュエリーの市場では、1800年から1930年あたりまでの間に作られたジュエリーを主に扱います。 (アンティークジュエリーのスタイルで言うと、ジョージアンからアールデコの間。) なぜなら、ジュエリーの材料が貴重だった古い時代において、新しいジュエリーを作る場合、 既存のジュエリーをバラして材料を再利用することが多かったので、モノ自体が現在まで残っていないのです。 そのような時代に製作されたジュエリーの多くは美術館などに収蔵されていて、 アンティークジュエリーの市場には出てこないと思うので、入手することは難しいでしょう。

ジュエリーの製作された時代が古すぎると耐久力が落ちていて、実用するには難しいという問題もあります。 ジュエリーの条件として重要なものの一つに、着用性や携帯性があります。この性質が損なわれているジュエリーというのは、 ジュエリーとしての価値がどうしても低くなってしまいます。 アンティークのジュエリーというと、宝石箱やジュエリーボックスに大事に保管されているような、 コレクションジュエリーとしてのイメージがあるかもしれませんが、 現代ジュエリーとうまく組み合わせて積極的に活用している人も数多くいます。

アールデコのジュエリーより時代が新しくなると、ジュエリーは量産化が進んで希少性も失われてくるので、 アンティークのジュエリーとしての評価は低くならざるを得ません。 アンティークのジュエリーを取り巻く環境が以上のような感じなので、 この130年ほどの間というのがアンティークジュエリーのおさまる範囲だと一般的には考えられています。 アンティークジュエリーの関係者にとってはお約束事みたいなものかと思います。

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